題名:子供の「脳力」を鍛えるには
報告者:ナンカイン
子供には無限の可能性が秘められている。しかしながら、親の子供への介入の仕方によって、その可能性が将来に渡って無限のままとなるのか、はたまた、有限となってしまうのかも、決定づけられる。「三つ子の魂、100まで」ということわざもあるために、「うちの子はすでに三歳を過ぎたので…」と子供の可能性を諦める方もいるかもしれない。しかしながら、脳のニューロンは死すとも、ニューロンのネットワーク(ここでは「脳力」としたい)は、生涯に渡って発達する(この記事)。すなわち、三歳を過ぎた子供であっても、むろん大人でも、「脳力」はいつでも変えられる。
子供の「脳力」の発達にとって重要なのは、「非認知能力」と言われる。「非認知能力」について図に示す。
図 非認知能力1)
「非認知能力」は、学力のような認知能力とは違い、机上では測りにくい。しかしながら、図を見て分かるように、大人になってからも非常に重要な項目が並んでいることが一目瞭然である。中でも、子供の教育に重要とされるのは、「自制心」と、「自己認識」の「やり抜く力」であり1)、子供の「脳力」を鍛えるには、まずこの2つに焦点を絞ることが必要とされる。
「自制心」に関しては、マシュマロ実験が有名である1, 2)。子供にマシュマロを差し出し、「いつ食べてもいいけれども、大人が部屋に戻ってくるまで我慢できれば、マシュマロを2つ食べられますよ」という実験である。結果、2つのマシュマロを手に入れた子供は、後年も成績がよいとの判定が出ている。もし、仮に親として自身の子にこれをするとどうなるだろうか。2つ手に入れる自身の子は「自制心」があると判断してもよいかもしれない。ただし、すぐに食べた子供であっても、心配はいらない。「自制心」は、「筋肉」と同じく継続と反復によって鍛えることができる1)。もう一方の「やり抜く力」であるが、これはグリッド3)とも言われ、「成功を予測できる性質」とも言われている。これに関しては、「自分のもともとの能力は、努力によって後天的に伸ばすことができる」と子供に信じさせることが、親として大事である。そのために親としてできることは、自身の子に小さな成功体験を繰り返し与えられることが有用となるであろう。
子供の「脳力」はすぐには鍛えられず、一夜にして成し得ない。その裏には、親としての大人の「脳力」も日々磨かなければならない事実もある。
1) 中室牧子: 「学力」の経済学. ディスカヴァー・トゥエンティワン. 2015.
2) ミシェル, ウォルター: マシュマロ・テスト. 早川書房. 2015.
3) https://www.ted.com/talks/angela_lee_duckworth_the_key_to_success_grit?language=ja (閲覧2016.1.27)
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