題名:カカオ豆の夢を運ぶバリーカレボー社
報告者:トシ
カカオ豆は言わずと知れたチョコレートやココアの原料である。中央アメリカから南アメリカの熱帯地域が原産で、収穫された果実の果皮を除いて一週間ほど発酵させた後、カカオ豆を取り出し、それがチョコレートやココアの原料となる1)。ピュアココアで有名なバンホーテンの誘惑の黄金の缶「バンホーテン ピュアココア」は、カカオ豆100%から作られ、香料や添加物は含まない。それを直接味見してみれば分かるが、カカオ豆そのものは甘くはなく、苦い。
マヤ文明などのかつての南米においては、その滋養強壮のよさから、「ショコラトル」2)という名で戦いなどの時の飲み物として重宝され、カカオ豆は神聖なものと考えられていた2)。その「ショコラトル」は現地のナワトル語で「苦い水」を意味し2)、これは先の「ピュアココア」を直接味見した場合と同じ印象となる。すなわち、カカオ豆自体は、苦いのである。これが甘くなったのは、南米からスペイン人が持ち帰った「ショコラトル」に、砂糖などを加えたことに端を発する。その飲み物が、やがてココアやチョコレートとなるのである。チョコレートの世界史については、武田による文献3)に詳しく記載されてある。こちらを読めば、ヨーロッパで砂糖との甘い関係となった現在のチョコレートやココアの歴史がよく分かる。
その誘惑のカカオ豆であるが、スイスにバリーカレボー社なるカカオ豆、および、その製品を扱う企業がある4)。そのバリーカレボー社は、1996年にベルギーのカレボーとフランスのカカオ・バリーの合併によって設立された多国籍企業で5)、御社のサイト4)によると、世界で消費されているチョコレートやココアの製品の5つに1つがバリーカレボー製であるとされている。そのため、カカオ豆を扱っている企業の中でも世界で最も大きな企業の一つであることが推測できる。ウォンカ工場(この記事参照)もびっくりの規模である。きっと図のバリーカレボー社のトラックには、カカオ豆の夢が沢山詰まっているに違いない。なお、ベルギーのカレボー社のサイトには、チョコレートやココアに関係する様々なレシピ6)が載っており、こちらも見ても、ついよだれが自然と垂れてしまう。カカオ豆(と、仲の良い砂糖)、実に恐るべしである。
図 バリーカレボー社のトラック4)
1) https://ja.wikipedia.org/wiki/カカオ (閲覧2016.2.25)
2) http://matome.naver.jp/odai/2136411201550543901 (閲覧2016.2.25)
3) 武田尚子: チョコレートの世界史 近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石. 中央公論新社. 2010.
4) https://www.barry-callebaut.com/ (閲覧2016.2.25)
5) https://ja.wikipedia.org/wiki/バリーカレボー(閲覧2016.2.25)
6) http://www.callebaut.com/jpjp/13 (閲覧2016.2.25)
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