題名:音楽に伴うダンスの縦揺れと横揺れに関する主観的比較
報告者:ゴンベ
本記事は、この記事の続きです。
この記事にて「音楽のノリ」であるグルーブ感について説明するとともに、日本のグルーブ感のある音楽について述べた。そしてグルーブ感のある音楽には、ダンスが欠かせないことも述べた。ここでは、「音楽のノリ」がもたらす「ダンスの揺れ」について考えたい。
「音楽のノリ」に関しては、すでに先行研究がある1)。それによれば、「ノリ」は次の3つに分類される。能動的ノリ、音楽的ノリ、受動的ノリである。能動的ノリは演奏者と聴衆を繋ぐコミュニケーション的なノリ、音楽的ノリは演奏者の掛け合いの中から生まれるノリ、受動的ノリは疑似的に演奏者になることで感じられるノリのことである。このノリを、音楽と合わせてダンスの面からも考え直すと、能動的、受動的ノリの2つに集約されるであろう。コンサートなど「ノル」のは前者、レコードなどで「ノル」のは後者となる。しかしながら、音楽業界の一つの業種であるDJの魅力は、コンサートでもなく、レコードでもなく、その中間に位置し、DJが活躍するクラブでは、聴く・踊る・演るの3つの要素を一体とすることが重視される。そのため、この状態を「音楽のノリ」で言い直すと、受動と能動を併せ持つ受能動的ノリとなるであろう。近年のダンスのブームは、この受能動的ノリがもたらしたものとも言える。
受能動的ノリは、「音楽のノリ」そのものというよりも、むしろ音楽+ダンスのノリになる。そのため、そこには「ダンスの揺れ」も加味される。その「ダンスの揺れ」は大まかに縦揺れと横揺れがある。この縦揺れと横揺れは地震にもあり、地震では上下に揺れる状態を縦揺れ,水平に揺れる状態を横揺れと言う2)。さらに地震にはP波の縦波、S波の横波があり、字句から縦揺れと横揺れと同じ内容として混同しやすいが、正確には別とされる2)。ここでは、揺れだけについて取り上げ、地震の揺れからの印象をもって、「ダンスの揺れ」を主観的に比較すると、表のようにまとめられる。
表 地震の揺れと「ダンスの揺れ」の主観的比較
この記事で挙げた三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE「R.Y.U.S.E.I.」は、この表に従えば、縦揺れに相当するであろう。また、Madonnaのアルバム「Confessions on a Dance Floor」にある名曲"Hung Up"3)での「ダンスの揺れ」も、その揺れに相当するであろう。それでは、横揺れにはどのようなものがあるかと言えば、Joeの"I’m Missing You"や"If I Was Your Man"、Donell Jonesの"Shorty Got Her Eyes On Me"などがそれに相当すると言えようか。ベースやリズムなどのボトムが充実し、メロディはシンプルの極みだが、自然と体が左右に揺れ、「おーぃえぃ、べいべぇー」と口ずさみやすい。
1) 松本息吹, 他: 音楽的空間における「ノリ」の研究. 高知大学教育学部研究報告. 2009.
2) http://www.eonet.ne.jp/~kansai-catfish/pswave.pdf (閲覧2016.1.17)
3) https://www.youtube.com/watch?v=EDwb9jOVRtU (閲覧2016.1.17)
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