題名:論文「映画が人に与える影響」から、映画に関する報告書を記述したい影響を受けた論考: PartⅡ
報告者:ログ
本記事は、この記事の続きです。
文献1)では、映画の動きを三次元的存在として感じさせることで、観客の内的感覚を刺激し、魂を持っていないものに魂を与え、アニミズム的思考へと誘導させる。そして、それによって映画にイリュージョンをもたらし、観客の感じる映画の世界と現実の世界の差を薄くする。そして、それが強ければ強いほど、完璧になればなるほど、映画は成功する。そう説かれている。ここでのキーワードは、やはりアニミズム思考となろうか。しかしながら、アニミズム思考は、一般的ではない言葉でもある。そのため、これについて、説明する必要性を感じた。そこで、アニミズム思考についてまず思索したい。ちなみに、アニミズムは、アミニズムと勘違いしやすい。語源自体は、気息・霊魂・生命といった意味を持つラテン語のアニマ(anima)に由来しているため2)、アニミズムとなる。アミニズムは、網ニズムとなるために、そこは注意されたい。実際、恥ずかしいことに、この記事を記述している際にも、アニミズムをアミニズムと記述していることに気づき、修正した。
アニミズムとは、精霊信仰とも言われ3)、霊や精霊が活躍する感覚や思考がもたらした独特の体験の具象化である4)。それゆえに、人類最初の宗教的思考とも呼ばれ、ここの記事でも示されたトーラス構造に従えば、空虚な穴を行き来するものたちである。そのような人間の中の哲学的事始めとも言える小さな火花は、つながりが認識され、組織化され、やがて神話を生み出す5)。それは、脳の中にある異なる認識領域をつなぎ、自在に流動していくニューロン・ネットワークの形成をも示し5)、人間に「超越なるもの」を獲得させたきっかけでもある。それゆえに、人間は、今でも、自由な空間と時間の中で、宇宙(世界)との意味を模索する5)。神話は、その意味の象徴でもある。
ここで、少し視点を変え、物理学の理論の1つから神話を捉えたい。すると、物質の基本的単位を、大きさが無限に小さな0次元の点粒子ではなく、1次元の拡がりをもつ弦であると考える弦理論に、超対称性という考えを加え拡張したものに、超ひも理論と呼ばれる理論がある6)。この理論になぞらえると、アニミズムはアミニズムに変貌する。それは、時空に行き来しているであろう物質のひも(霊や精霊?)を、脳内のニューロン・ネットワークで網あわせる、それが、結局は、神話として編ま込まれるとするテキトー仮説を立てると、これこそが、神話の網を編む過程、アミニズムとなる。そして、いい感じにアミニズム思考にも着地できた。
その神話に関して、中沢新一博士曰く「神話は空間や時間の中に拡がって、おおもとのつながりを失ってしまっているように見えるものに、失われたつながりを回復することであり、互いの関係があまりにバランスを欠いてしまっているものに、対称性を取り戻そうとつとめることであり、現実の世界では両立することが不可能となっているものに、共生の可能性を論理的に探り出そうとすること」5)が目的にある。と、ここで、引用しすぎて、またもディスプレイ面が終了した。論文「映画が人に与える影響」については、次の記事に譲りたい。
1) 尹政旻: 映画の演出における「動き」についての研究. 大阪芸術大学大学院博士論文. 2016.
2) https://ja.wikipedia.org/wiki/アニミズム (閲覧2018.8.7)
3) http://www.irohabook.com/japan-shinto (閲覧2018.8.7)
4) 中沢新一: 野生の科学. 講談社. 2012.
5) 中沢新一: 人類最古の哲学. 講談社. 2002.
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