題名:Kちゃんについて
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
月の世界において地球時間の朝9時頃。法廷内のMoon人が、弁護人席の後ろに立ててあったパーテーションを開いた。上下に会社の作業着のような服を着た、百智信吉被告がそこに座っていた。背中まで伸びた黒髪はあちこちを向いて跳ねている。黒縁眼鏡に大きなマスクを付けており、それを受けることができるか?という表情以外はうかがえない。ツキオを含めた4人のMoon Town自警団が百智被告を囲んでいた。
ほどなくして、裁判員や補充裁判員も入ってきた。いよいよ開廷する。
Moon Town最高裁判長:「開廷します。被告人は証言台の前に立ってください」
百智被告がゆっくりと立ち上がる。会社の作業着にはしわが目立っていた。
Moon Town最高裁判長:「名前は」
僕:「百智信吉です」
Moon Town最高裁判長:「起訴状では住居、地球の日本となっていますが、それでいいですか」
僕:「はい」
Moon Town最高裁判長:「仕事は」
百智被告:「モモチ・コーポレーションの若頭です」
百智被告ははっきりとした声で淡々と答えていく。裁判長が注意事項を述べる。公判は、こぶちゃんの氏名などを伏せて審理できる「被害者特定事項秘匿制度」が適用され、こぶちゃんには、アルファベットを用いたKちゃんという匿名呼称が用いられた。
Moon Town最高裁判長:「Kちゃんについて、法廷で特定情報を秘匿する決定をしています。あなたも、言及するときは特定情報を出さないよう注意してください」
百智被告「はい」
注:法廷内の記述は筆者の得意としない場面であるために、全面的に次のURLを参考に記述したことをお許し願いたい。参考: https://www.sankei.com/affairs/news/200930/afr2009300018-n1.html (閲覧2020.10.23)
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